気温差の激しい2~4月の季節の変わり目は、腰・首・背中などに急な痛みを起こしやすい時期です。
実際、当院にもギックリ腰や寝違いの症状でいらっしゃる方が増えています。
事前に起こさない状態にするのが1番ですが、もしなってしまった場合の対処法、迷いますよね。
ギックリ腰(急性腰痛)になった場合は、とにかく安静にするのか・・・
それとも、ストレッチなどをして動かして治すべきなのか・・・
ギックリ腰を改善させるには、どちらが有効なのか・・・ご説明させて頂きます。
目次
「安静にしないという新常識」
大抵の方は、まず痛みがほぼ無くなるまで安静にするのがベストだとお考えだと思います。
実際、一昔前までは常識はそうでした。
しかし、最近はそうではありません。
多くの掲載されている研究の結果を1部ご紹介致します。
その1つの研究内容は、ぎっくり腰を起こした患者さんを、
①「ベッドでの安静」
②「できる限り通常の日常生活を過ごす」
と分けて経過を追ったものです。
その結果、②の「できる限り通常の日常生活を過ごす」よう心掛けたグループの方が回復が早く、
①の「ベッドでの安静」を行ったグループの方が回復が遅かった、という意外な結果となったようです。
他の似たような研究を見ても、安静にしていることは症状を長引かせてしまう結果になることが、多かったようです。
「安静にしないという新常識には例外がある」
厳密にいうと、ぎっくり腰の症状の状態によっては、先程の研究の両方とも正解なのです。
例えば、腰椎椎間板ヘルニアなどを起こしてのギックリ腰だったり、
炎症が強く、まっすぐ立てない・動けないなどの激痛である場合などは、無理に動かしすぎてはいけないし、
そもそも日常生活は過ごせません。
それを無理して動かすと、悪化してしまいます。
その場合は、ある程度炎症が引くまで、アイシングと①のとにかく楽な体勢で安静ということになります。
動作時に痛みが、お尻から太ももより下に響くときや痺れる時は、整形外科医を受診して、1度画像診断をした方が良いです。
また動作によって痛みはあるが、日常生活を過ごせるような状態であれば、
私は、筋肉の緩和やバランス(歪み)の改善と②がベストではないかと思います。
ただし、それは、施術者のしっかりとした知識、技術、経験がある場合に限ります。
もう1つ気を付けなければならないのが、腰痛の原因が病気の場合です。
横になってじっとしていてもうずく場合や足の脱力がある時、場合によっては、がんや骨粗しょう症などのケースもあります。
3~4日の安静で全く効果がない場合や、身体を動かさないのに腰痛がある・安静にしていても余計にひどくなっていくときなどは、
他の疾患である可能性も考える必要があります。
下肢に感覚障害がみられる、力が入らない場合。
また、排尿障害などを伴っている場合などは、重度の椎間板ヘルニア、脊椎すべり症、腫瘍なども考えられます。
高齢の方で、骨粗鬆症の強い方などは圧迫骨折なども疑う必要もあります。
その場合は、かかりつけ医や整形外科などへ1度受診をお勧めします。
「ぎっくり腰発症直後の対処法」
ぎっくり腰の発症直後、動けないほどの激痛の場合には、まず腰に負担がかからない楽な姿勢をとるようにします。
「膝を軽く曲げて痛む方を上にして横向きに寝る」、「あおむけに寝て、ひざを軽く曲げて、膝の下にクッションを入れる」、
「あおむけに寝て、低めの台に両脚を乗せる」などの姿勢がいいと思います。
同時にアイシングを行っていきます。
痛みはあるが、通常通り動けるようであれば、無理しないように日常生活を送り適度に動く方が良いです。
同一姿勢で座りっぱなしなどは、治りが遅くなるし、悪化することも多いです。
発症から1~3日後
上述させて頂いたように、一昔前はぎっくり腰を起こした後は、安静にすることが1番だと言われていました。
しかし、近年では、ずっと動かないでいると筋肉や組織が固まってしまい、血流が悪くなり、
腰痛との関係が深い筋肉が衰えてしまうため、回復が遅れてしまうということがわかってきました。
したがって、発症から1~3日後に痛みがやわらいだころから、多少の痛みを我慢して、
動かせる部位は積極的に動かすようにしましょう。
「再発予防」
ぎっくり腰を経験すると、その後の1年以内で約1/4の患者さんが再発するといわれています。
ぎっくり腰は繰り返しやすいです。
再び苦しまないためにも、しっかりと再発防止に取り組むことが大切です。
再発を予防するためにすべきことは、主に4つ。
・長時間の不良姿勢をとらない
腰に負担がかかるような姿勢を長時間は避けましょう。
・ストレス(緊張状態)を軽減する
ストレスが続き緊張状態が続くと、筋肉も緊張しますし、痛みに敏感にもなります。
趣味などご自身の好きな事を生活に取り入れ、リラックスする時間を確保しましょう。
・肥満を防ぐ
肥満が進むと体重が重い分、腰への負担が増して腰痛を起こしやすくなります。
・適度な運動を行う
適度に体を動かすことは、リラックスにも繋がりますし、腰周囲の筋肉の強化にも繋がります。
「ご自宅で簡単に出来る腰の体操・ストレッチ」
ご自宅やオフィスで出来る体操やストレッチを、いくつかご紹介させて頂きます。
慢性腰痛の改善に効果的な運動
慢性的な腰痛を改善するには、主に「背筋」と「腹筋」を鍛えることが大切です。
運動は、腰に痛みが強い場合や、行うことで痛みが増す場合などは、相談してから行ってください。
①「床上体反らし」
うつ伏せになり、手はお尻のあたりに置きます。
おなかをへこませる(これ大事です、腰を過度に反らしすぎると逆効果になる場合もあります)
へこませたらそのまま上体を頭から順に反らし、5秒キープします。
(必ず呼吸を吐きながら行って下さい。息をしないと血圧が上がります。)
元の姿勢に戻ります。
【回数】 10回を1セットとして、1日2~3セット行う。
②「椅子上体反らし」
こちらは座って出来るので、オフィスなどでも出来ます。
背もたれつきの頑丈な椅子で行って下さい。
まず椅子に深く腰掛けます。
おなかをへこまして(こちらもこれが大事です)、腕を組みます。
お腹をへこませたまま上体を頭から順に後ろに反らし、5秒キープします。
(こちらも必ず息を吐きながら行いましょう。そしてお腹が伸びて背中が効いていることを感じてください。)
元の姿勢に戻します。
【回数】 10回を1セットとし、1日2~3セット行う。
腰痛に効果的なストレッチ。
①仰向けに床に横になり、上体の向きを変えずに、腰から下だけをひねります。
これを左右、交互に行ってください。
②膝を抱えた上体で、おへそをのぞきこむようにゆっくり腰を伸ばします。
こちらは、座っても仰向けでも出来ます。
オフィスなどで長時間座位が続いている時などは、合間にやってみて下さい。
「まとめ」
一昔前の常識は、変わっていきます。
医療では特にそういうことは多いです。
身体の状態に合わせて、適切な対処が、早期完治に大切です。
もし、発症してしまった場合には、このコラムを参考にして頂けたらと思います。
痛みの強い腰痛は、ならないのがベストです。
未然に防ぐために、日頃から身体の歪みを正しておくことや、
上述しましたストレッチや体操などで、筋肉・靱帯・関節などの柔軟性を保ち、
背骨をバランスよくしっかりサポート出来る状態にする事が重要です。
身体の歪みが強くなったり、腰周りを支える筋肉(主に腹筋や背筋)が弱くなると、腰への負担が大きくなります。
腰痛時の対処の判断が難しい時や、未然に防ぐための身体作りの方法など、
電話やメールでも、ご来院頂いても構いませんので、是非一度ご相談下さい。